「気にする」と「気になる」
- okag62
- 2020年7月2日
- 読了時間: 3分
日本語の通常の会話では、主語はあまり使いません。
「部長がやるって、言ったんだよ。私のせいじゃないよ」
のように、誰がやったのかはっきりしたい場合は、もちろん使いますが、
「明日行く?」
「6時でしょう?もちろん」
のように、誰のことを話しているかハッキリしている場合は、通常は主語を入れないほうが自然です。お互い分かっている情報は、スキップすることが多いです。主語なしに文が成り立たない英語とは結構違います。
ただ、主語がないために、分かりにくい場合があるのも事実です。ですので、誰がやったのか分かりやすくするために、工夫されていることがあります。動詞を変えるというのも、その一つです。
自動詞/他動詞などは、その一つの良い例だと思いますが、
「旅行の日程、決めたよ」
「旅行の日程、決まったよ」
といった場合、「決めたよ」と聞くだけで、この話している人が決定者だということが分かります。「決まったよ」の場合は、この人だけが決めたのではなく、みんなで話し合って決まったかもしれないし、旅行会社の人が最終確認をしたのかもしれないし、または奥さんが何でも決定権を持っているご家族で、旦那さんが何も決められない、という状況を表しているのかもしれませんね。
もう一つは、「する」と「なる」です。
上記の「決める」「決まる」と同じように、
「会議は明日にしました」
「会議は明日になりました」
といった場合、「しました」とあるので、この人が決めたことが分かります。状況がこの人のコントロール下にあることを示しています。
そこでようやく今日の本題です。
「気にする」
「気になる」
何が違うのでしょうか。
今までの話と矛盾するようですが、実はどちらも、話者のすることです。
「もう過去のことだから、気にする必要はないと思うんだけど、、、」
のように、「気にする」のは、あんな失敗をしてミスったなとか、あの人、私のこと怒っているんじゃないかとか、今日の服はかっこ悪く見えるんじゃないかとか、自分の中で作り出した心配のことです。実際には、他の人は気にしていないかもしれないし、自分の服装を誰も見ていないかもしれない、本当は存在していない心配を自分の中から作り出しているようなものです。
一方で「気になる」というのは、「駅前にできた新しい店が気になる」「最近入社した〜〜さんのことが気になる」とか、自分からそこに注意を向けているのは確かですが、でもその対象は、実際に外に存在しているものです。ですので、自分の内面から生み出すというより、自分以外の外からやってくるもの、という面があるように思えます。
もう一つのポイントは、全く別の観点ですが、既に起こったことか、それともこれから起こることか、という違いだと思います。
「お客さんの反応が気になる」
「お客さんの反応を気にする」
という2つの文がある場合、「気になる」方は、未来形の感じがします。これから新製品を発表するので、その時にお客さんがどう反応するか、関心があるということです。お客さんの反応はまだ来ていない状態です。
逆に「気にする」方は、過去形の感じがします。お客さんにダメだと言われた、サービスが悪いと言われた、などの既に起こった出来事について、ずっと悩んでいるという、そんな状況が目に浮かびます。
皆さんは「気になる」ことがありますか、それとも「気にする」ことがあるでしょうか。
通常(つうじょう)generally, commonly
結構(けっこう)quite
工夫(くふう)use one's brain
日程(にってい)schedule, itinerary
旦那(だんな) husband
矛盾(むじゅん)contradiction
実際(じっさい)reality
逆に(ぎゃくに)on the contrary
悩む(なやむ)worry
既に(すでに)already
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